昭和53年(1983年)聖徳学園短期大学附属中学校・高等学校として開校以来、小笠原流礼法宗家監修によるカリキュラムに従い、正課として週一回、全校で礼法の授業が行われています。武家社会で実践されていた礼法から現代に生かせる理論と実践を中心に、中学生・高校生にわかりやすく指導しています。光英VERITAS中高では、これまでの小笠原流礼法のカリキュラムをさらに発展させ、これからのグローバルな社会に通用する衣食住のマナーを学びます。自国の文化を知ることを前提に理解を深めていきます。
主な単元
・基本動作(洋室・和室での立ち居振る舞い)
・食事作法(和食・洋食の作法)
・小笠原流礼法の歴史
・訪問の作法(訪問ともてなし)
・ビジネスマナー(面接のマナー)
・贈答の作法(贈答の包みの作成)
・茶の湯(小笠原流茶道古流主客の心得)
・和服について(浴衣の着装)
・日本建築の特徴 など
これらの学習内容を中学、高校の各3年間で修得します。中学、高校の各3年間を修了すると、小笠原流礼法宗家より礼法許状が授与されます。中学校は「若紫の傳(小笠原流礼法「初傳」に準ずる資格)」、高等学校は「花鬘の傳(同「中傳」に準ずる資格)」となっています。高等学校では、さらに上級試験を受けることにより、「花鬘の正傳(同「奥傳」に準ずる資格)」を取得することもできます。これらの資格は卒業後に役立っていることが多く報告されています。
時・場所・状況に応じた的確な判断と、その判断に基づく振る舞いを身につけながら、社会人に求められるマナーについても具体的に学びます。基本のあいさつや美しいお辞儀などの所作はもとより、就職活動に生かせる会社訪問での振る舞い、面接の受け方、言葉遣い、また社会へ出てからの会社内でのコミュニケーションの取り方など、実践を伴いながら身につけていきます。ここで学んだ成果は社会へ出た際に遺憾なく発揮され、卒業生たちの人間性と教養の高さは多方面から評価を得ています。
単元ごとに配布される資料と『小笠原流礼法入門 見てまなぶ日本人のふるまい』(小笠原敬承斎著)、『小笠原流礼法入門 日本人のこころとかたち』(小笠原敬承斎著)、『英語で伝える日本のマナー』(小笠原敬承斎著)の3冊の書籍を副教材として使用しながら、授業を進めていきます。
校内にある礼法室の建築にあたっては先代の小笠原流礼法宗家監修のもとに建てられました。礼法室の中心にあるのが「洗心の間」。鏡に映るものは過去、中央が現在、ガラスの向こうが未来を表現しています。洗心の間から西側には書院を配した、書院造りの和室があります。10畳の和室が二間続きになっています。床の間には掛け軸や花を生け、書院の向こうの書院窓からの日本庭園の景色も計算されたものになっています。東側には上段の間を供えた書院造りの和室があります。玄関には砂利が敷かれ、入口はにじり口のように低くなっています。
小笠原流礼法は小笠原家に代々伝えられた、現代において残っている唯一の武家礼法です。小笠原家初代長清は源頼朝に弓馬術を教えたとされ、以来小笠原氏は弓馬術を得意とする家として武家政権の中での役割を果たしました。
その奥義は一子相伝とされ、礼法書「三議一統」、「小笠原礼書七冊」などの伝書がまとめられています。江戸時代には将軍家のお止め流、すなわち秘伝とされていました。
戦後になり、礼法は現代に必要であり、生かせるものがあると確信した、先代の家元であった、小笠原忠統氏は礼法を広く広めるために努力しました。学校教育でも礼法は取り入れられ、現宗家小笠原敬承斎が礼法の奥義を伝え、今日に至っています。